秋彼岸法要

秋彼岸法要

秋彼岸法要を9月24日(昼座13時30分、夜座19時30分)、9月25日(昼座13時30分)に勤めさせていただきました。ご参拝の皆さまとお正信偈をお勤めした後、ご法話をいただきました。

春彼岸法要と秋彼岸法要では前住職からご法話をいただいております。各座で童話を取り上げ、そのあらすじを簡単にご説明いただいた後、そこから教えられる事や仏さまからのお話として捉えてみようという事を行っています。(前住職によると「あくまで私自身の解釈ですが…」とのことです)

今回の秋彼岸法要では
「姥捨て山(うばすてやま)」
「若返りの水(わかがえりのみず)」
「たにし長者(たにしちょうじゃ)」
のお話でした。

●姥捨て山(うばすてやま)
ある国でお殿様から「60際になると年老いて働けなくなり役に立たないから山に捨てよ」という非情なお触が出ます。「仏さまのところに行くんじゃ」と母親。老いた母親を捨てるために背負い山に向かう息子。その背中では母親が道すがら小枝を折っています。息子が何故かと尋ねると「お前が帰る時に迷わないように」と。こんな時にでも自分を心配してくれる母親の事を思うと捨てることができず、家の床下に匿って世話をすることにしました。

それから月日の経ったある日、お殿様に隣の国からいくつかの無理難題が吹っ掛けられ、それに答えられなければ攻め滅ぼすと脅されます。広く知恵を求めたお殿様に対し、息子が見事に解決して見せました。ただその知恵は床下に匿っている母親からのものでした。

老人の知恵のおかげで救われたことを知ったお殿様は、それまでの考えを改め、お触れを撤回し、老人を大切にするようになりました。

この昔話からは、どれ一つとして無駄な命はないこと、亀の甲より年の劫、経験の力、育てられている・生かされていることの大切さ、母親を仏さまに置き換えてみよう、などをお話しいただきました。

●若返りの水(わかがえりのみず)
昔々、山のふもとにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじさんは柴刈りをしていましたが、今日はいい柴が見当たらないし疲れてきたので、少し休憩していたところ道端の岩から美味しそうな湧水が。喉が乾いていたおじいさんは水をゴクリと飲みました。すると先程までの疲れが吹き飛び、元気になり、いつもの倍以上の柴を担いで颯爽と家に帰りました。

家に着くとおばあさんから「どなたですか」と言われびっくりしたおじいさん。なんと若い頃のおじいさんに戻っていたのでした。そして湧水を飲んだことで若返った事を知ったのでした。

その事をおばあさんに話しました。おばあさんは翌日若返りの水を目当てに山へ出かけました。ただ夜になっても帰ってきません。心配したおじいさんが山へ探しに行くと湧水が出ていたあたりから「おぎゃーおぎゃー」と赤ん坊の鳴き声が。近づいてみるとおばあさんの着物を着た赤ん坊がいました。おばあさんは若返りの水を飲みすぎたようです。おじいさんは赤ん坊になったおばあさんを抱いて帰りました。

この昔話からは、いつの時代も変わらない長寿、便利さ、豊かさなどに対する果てしない欲望と悩みのお話し、お浄土に生まれ仏さまになる事でそれらの悩みから解放される世界があること、などをお話しいただきました。

●たにし長者(たにしちょうじゃ)
ある村に子供が授からない貧乏な夫婦がすんでいました。毎日水神さまに子供を授かれるように、子供と名のつくものならなんでもいいとお祈りしていました。するとある日、田んぼで作業をしていたおかみさん、急にお腹が痛くなり子供が生まれましたが、たにしでした。

それでも夫婦は一生懸命に可愛がりました。水の中にいるだけで20年が経ちました。夫婦は歳を取るが、たにしは小さいままです。

ある日突然、たにしに言われるままに、長者さまに納める年貢の米俵を馬にのせて、その上にたにしをのせました。たにしは馬を操り、長者さま宅までお米を届けると皆がびっくり。長者さまはたにしをたいそう気に入り、たくさんの嫁入り道具とともに娘を嫁がせました。貧乏だった夫婦もだいぶ楽に暮らすことができるようになりました。

やがて春がやってきて村まつりが行われました。村の鎮守さまへお参りに、たにしもお嫁さんに連れられて参拝しに行きます。だがたにしは鳥居の前で「私はここから先へは入れません。貴方だけで参拝してきてください」と伝えました。お嫁さんは「ここに貴方を置いておくとカラスにでも突かれるかも」と訴えますが、大丈夫とたにし。しかたなく、たにしを田んぼの縁に置き、お嫁さん一人で願掛けをし帰ってくると、たにしがいなくなっていました。どこを探してもいません。責任を感じたお嫁さんが命を絶とうとした時に、目の前に立派な青年が現れ馬鹿なことは止めなさいと諭されました。ただその青年の声がたにしと全く同じで、その青年がたにしの元の姿だと知ることになりました。一緒に家に帰ると両親も大喜び。家族揃って幸せに暮らしました。

この昔話からは、元々の青年がたにしになって夫婦に大切な事を教えてくれた、たにしを観音様の化身と考えてみよう、泥の中で生きるたにしを同じく泥の中でも綺麗な花を咲かせる蓮の花に置き換えて考えてみよう、などをお話しいただきました。

前住職による童話シリーズ法話。
毎回おもしろおかしく、またハッとするような気づきや為になる話を聞かせてもらっています。次回は来年の春彼岸法要でお話しいただく予定です。是非ご参拝ください。

秋彼岸法要2024
秋彼岸法要の様子です。
秋彼岸法要2024
前住職による御法話の様子です。